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六曲屏風 山水群鶴図  78歳作。

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遺っている作品は、数少ないのですが保存状態が良くないのに心が痛みます。この六曲屏風を某家で拝見した時、松夕の画力の素晴らしさを実感しました。73歳で画号を頂戴して気力も充実していた時期です。一瞬、伊藤若冲の絵をイメージしました。狩野派には山水画多いのですがここまでに自然や生き物たちが生々と共生している世界を描いているのには驚きです。某家からの依頼で描かれた作品でしょうが、相当に気合が入っています。金箔を使用しているのをみても分かりますが画材も惜しみなく使用しています。「松夕」の最高傑作と言えるでしょう。

画像や資料は、小林政一氏より提供されたものです。氏の長年にわたる取材と撮影に感謝すると共に、ご高齢にもかかわらず何度か足を運んで頂き、資料を拝見させて頂いた

「松夕」の5代目の子孫であられる故佐々木朋三翁に敬意を表します。

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六曲屏風 得意の花鳥図。余白を持たせた構図が素晴らしい。相当に傷みが酷い状態です。 76歳作。         (画像クリックで拡大)

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六曲屏風 帝鑑図。83歳作。                                         

ていかんず

帝鑑図

中国,明代の政治家張居正の著書《帝鑑図説》にもとづいた人物画の画題。中国よりも日本で盛行し、権力と結んだ狩野派により取り上げられ,山楽や探幽により定型化が進んで障壁画などに描かれる事が多いようです。

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富士四季図。雄大な富士山をバックに松と梅と紅葉、さっぱりとした構図の作品。 84歳作。

掛軸 高砂図。 84歳作。

婚礼で謡われた謡曲「高砂」の主人公の尉と姥は、実は黒松と赤松の精。お互いを想う気持ちが、一つ根の松へと姿を変え共に白髪となるまで添い遂げた理想の夫婦像とされます。 松夕の自画像か? 

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掛軸 達磨図。豪快な筆さばき、下書きなしの作品だろう。70年間の画道修行の成果がわかる。

88歳作。                         

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掛軸 西ノ宮大神宮。 画力は物をとらえるデッサン力で分かる。何気ない絵であるが筆さばきから絵師として、かなりの領域に達している。 89歳作。  

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掛軸 双鶴図。 つがいの鶴であろうか「松夕」は鶴の絵が多い。羽の一枚一枚を丁寧に描くのは相当な根気が無いと描けない筈。集中力は全く衰えていない。 90歳作。   

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中国の伝説で渤海(ぼっかい)にあるとされる島。不死の薬を作る仙人が住み、金銀で出来た宮殿があるという。 95歳作。   

ほうらいさん

蓬莱山

没年の前年、最晩年の作品です。蓬莱山図は仙人が住む宮殿を描く事が多いのですが「松夕」はあえて海上に浮かぶ小ぶりな山にし、瑞兆の定型の鶴、亀、松、梅を

配しています。これには彼の脳裡に何十年も眺めてきたあの風景があったのではと思うのです。隣村への通り道綱木谷の風景。深緑から紅葉、一転して冬に向かう時期のあまりに厳しい風景。自然は決して優しくないが美しい。死期の近い己れとダブらせ、凛とした気持ちで描いたのではないでしょうか。

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新雪の綱木谷、身が引き締まるような厳しい風景です。 

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アンカー 蓬莱山
アンカー 帝鑑図
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許由巣父

潁水(えいすい)で耳を洗っている許由を見て、やはり尭帝から天下を譲ろうと言われたのだろうと思った父の巣父はそのようなけがれた水を牛に飲ませることはできないとして、牛を引いて帰っていったという故事。栄達や高い位を嫌う例え。狩野派ではよく見かける画題です。松夕は独自のアレンジで上手に描いています。

きょゆうそうほ

許由巣父図。非常に保存状態がいいです。 83歳作。 

アンカー 達磨図
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